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by 認定NPO法人 開発教育協会 (DEAR)

政策提言

第7回ユネスコ国際成人教育会議に参加しました(2/3)

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第7回ユネスコ国際成人教育会議に参加しました(2/3)

こんにちは、DEARスタッフの伊藤です。

6月15日~17日にかけて、第7回ユネスコ国際成人会議(CONFINTEA7)に参加しました。前編では、CONFINTEA7に先立ち開催された、市民社会フォーラムについて紹介しました。後編は、CONFINTEA7の会議の様子や、市民社会からの提言がどのように「マラケシュ行動枠組」に反映されたのか3日間の会議の様子を二回に分けてご紹介します。

(写真) CONFINTEA会場の前で

1)1日目(6/15)のハイライト

この日は、「第5次成人教育・学習のグローバル・レポート(通称:GRALE5)」が発行され、また、本会合に先立って行われた、市民社会フォーラム、ユースフォーラム、民間企業フォーラムからの報告がありました。(【参考】CONFINTEA7のプログラム

GRALE5の概要はALEナレッジサイトにも掲載していますので、ご参考になさってください。

なお、GRALEは、ユネスコ加盟国が国際的なALEの公約を実践しているかどうかを監視し、報告するもので、報告書は、調査データ、政策分析、ケーススタディを組み合わせ、政策立案者や実務者に適切な勧告と好事例を提供するものです。

■市民社会フォーラムからの報告

市民社会フォーラムからは、前日にまとめた以下の提案をICAEの カトリーナ・ポポヴィック事務局長が報告しました。

  • ALE資金調達のためのコミットメントを強化すること
  • 識字率向上政策の実施に向けた努力の拡大
  • 質の高いALEを実現するために、ALEの教師や教育者へのサポートを強化すること。
  • ALEの政策とプログラムの計画、設計、実施に学習者の声を取り入れること。
(写真)ICAE事務局長 カトリーナさんの報告

また、ICAEロビー・ゲバラ会長は、のちのオンラインディスカッションでこの報告に、以下のように付け加えています。

「私たちは、普遍的人権としての成人学習・教育への変革へのコミットメントに参加します。このためには、これまで以上に公的資金を増やし、最も疎外されている人々が質の高い教育へのアクセスを確保できるよう、セクターを超えたより効果的なパートナーシップを築くことが必要です。これは、厳しい労働条件や専門的な能力開発の機会がないにもかかわらず、長い間学習者のために奉仕し続けてきたALE教育者の専門性を高めることによってのみ達成することができます。私たちは、これらの重要な要素が「マラケシュ行動枠組み」に盛り込まれることを期待しています。」

またユースフォーラムからの報告では、「政策へのエンゲージメントを!」という声が挙げられました。 

また、その後に行われた、「新しい教育社会契約における成人学習と教育」の全体会では、ICAE南米副会長ティモシー・アイルランドが講演を行い、生涯学習への権利に向けて、「私たちは、市民社会が政府と協力する正式な交渉の場を必要としています。成人教育は部局横断的でなければならない。」と訴えました。

2)2日目(6/16)のハイライト

■分科会:コミュニティ学習センター

2日目は、DVVインターナショナル(ドイツ成人教育協会)が、ICAEとGAEN(グルジア成人教育ネットワーク)と実施する分科会「成人の学習と教育のための重要な構造としてのコミュニティ学習センター(CLCs)―前提条件と優れた実践」に参加しました。ウガンダ、ジョージア、ペルー、タイにおけるCLCの好事例からの教訓と、ALEがCLCの活動に与えた影響について共有されました。CLCは日本の文脈では公民館として認識されているものです。

ワークショップでは、「世代間の学習を奨励し、他の地域の関係者と協力することによって、大人とその家族を学習に参加させる革新的な形態であるコミュニティ学習」について、スピーカーと参加者が議論しました。ワークショップで議論された重要な質問は以下の通りです。 

  • CLCは、持続可能な開発、そしてすべての人に生涯学習の機会を提供する上で、どのような役割を担っているのか?
  • CLCが長期的に適切に機能するためには、どのようなガバナンスや資金調達スキームが好ましいか?
(写真)CLC分科会の様子

■全体会:「識字-生涯学習の基礎」

また、午後からの全体会では、ASPBAEのヘレン・ダブ事務局長が、「識字-生涯学習の基礎」の全体会議のモデレーターを務めました。ブルキナファソ、ネパール、エジプト、カナダの代表者が参加し、若者や成人の識字率向上、省庁間の協力強化、識字率のための持続可能で多部門にわたる資金計画の改善、識字率に関する包括的で信頼できるデータの確保について、その方法を共有しました。

分科会:「世界的な危機に立ち向かうために、アクティブな市民教育が必要だ!」

その後は、ICAE主催の「アクティブシティズンシップ教育」の分科会に参加しました。分科会の目的は、アクティブシティズンシップ教育が必要とされている背景を理解し、アクティブシティズンシップ教育の多様な意味を確認し、好事例を共有することです。

各国の事例が共有されましたが、特に印象に残ったのは、「Pamoja西アフリカ」のキャロルさんの報告です。ガンビアの牛飼いの若者は規則を知らず、地域の境を無断で越えてしまい、頻繁に注意を受けていました。いつも怒られてばかりいたので、かれらの自尊心は傷つけられていました。しかし、「Pamoja西アフリカ」の市民教育の活動で、境界線の問題や地域の規則について学び、選挙や投票する権利を知ることで、他者と平和的な関係をつくることができて、問題があっても自分たちは対応ができることを理解しました。市民教育を通して、人々が自分の人生を主体的に生きることを学んでいる様子が伝わりました。

また、グローバルな市民教育といった場合は、北の先進国の脱植民地化が必要で、特に先進国が持っている権力や既得権益を自覚し、転換していくことが必須であることが語られました。また、グローバルな市民教育と言っても常に個人の振り返りが大切で、変革は個人から始まることも共有されました。

成人教育における「アクティブシティズンシップ教育」の概念整理や議論、共有はこれからだと感じたので、今後も追っていきたいし日本でもみなさんと議論していきたいと思いました。(報告:中村、伊藤)

(写真)市民教育分科会の様子
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