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by 認定NPO法人 開発教育協会 (DEAR)

お知らせ

「持続可能な地域をつくる 成人学習・教育(ALE)と開発教育:関西会議」開催しました(2024年1月13日‐14日)

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「持続可能な地域をつくる 成人学習・教育(ALE)と開発教育:関西会議」開催しました(2024年1月13日‐14日)

こんにちは。DEAR副代表理事で、ALEメンバーの佐藤友紀です。ALEプロジェクトでは、1月に「持続可能な地域をつくる 成人学習・教育(ALE)と開発教育:関西会議」を実施しました。

概要

い つ:1月13日(土)13:00~14日(日)12:00
どこで:関西セミナーハウス(京都市左京区)
だれが:関西を中心とした社会教育団体、NGO/NPO、開発教育関連団体から19名、DEARのALEメンバーとスタッフ9名

目 的

・社会教育団体、開発教育団体のみなさんとともにアクティブ・シティズンシップを考え、推進すること
・ALEプロジェクトで作成中のハンドブックの内容を実施し、意見をもらうこと
・課題解決に取り組む中で「市民性を育む教育」を意識化すること
・市民性を育む活動をしている団体や個人のネットワークの場とすること

参加された方々がこの“関西会議”に期待することはきっとそれぞれ違っていたと思いますが、受付直後から声をかけあい、自己紹介が自然に始まっている様子に「何かが始まる期待感」をみなさんが持っておられることを感じました。

プログラム

【1日目】
13:00~はじめに、概要説明(ALEプロジェクトについて)
13:20~お互いを知ろう(自己紹介、団体紹介)★1
15:00~作成中のハンドブックから、アクティビティを3つ実施★2
18:00~夕食
19:00~ネットワークづくり
21:00~交流会

【2日目】
9:00~社会教育の中でアクティブ・シティズンシップを育むためには?★3
11:30~ふりかえり
12:00終了

この中から、いくつかピックアップして様子を紹介します。

お互いを知ろう(自己紹介、団体紹介)★1 

どんな活動をしている、どんな思いを持っている人が参加しているのかを互いに知り合う時間をていねいにもちました。

「部屋の四隅」でどんな人がどこから集っているのかを概観した後、「4つの窓」(名前、所属、地元のおススメ、あなたにとって‘学ぶ’とは?)を記入して、短時間でたくさんの人と自己紹介をし、4人グループになって自己紹介と団体・活動紹介をし、“いいね!”と思うところを付箋に書いて贈り合いました。

参加者はそれぞれの団体の活動を通してめざす社会の姿があり、地域の方々と協働しているメンバーです。個々の活動の目的はそれぞれですが、それらを持ち寄ることで、人権、平和、環境、開発といった分野の重なりや大きな方向性を改めて認識することができました。

みなさんが各地から持参してくださったお菓子と比叡山の天然伏流水で淹れたお茶、コーヒーでちょっとブレイク。その後は、ALEプロジェクトで作成中のハンドブックの中から、3つのワークを体験し、フィードバックを行いました。

皆さんの自己紹介。地元のおすすめと、あなたにとって学ぶとは?を書いてもらいました。

アクティブ・シティズンシップについて(教材説明とワーク体験)★2

行動する市民(おとな)や市民性(アクティブ・シティズンシップ)を育む学習とはどんなものでしょうか。それを考えていく上でも、地域や自分の活動をあらためて見直す3つのワークを行いました。

ワーク1:私が思う、自分の地域

自分と地域との関わり方を問い直すワークシートに記入した後、気づいた点をグループで共有しました。

気づきと共有

・自分にとっての地域と、自分の地域の人たちと、主語が違うだけで認識が違いそう
・地域のリーダー/キーパーソンの存在は、良いこともあるし、困った面があることも出てきた。
・地域の範囲とは…?どこまでを範囲を考えるかで、自分の関りについての見方も変わってくる。

ワーク2:地域でアクションをする上でのハードルを考える

ひとりでできる⇔みんなとならできる=X軸、ハードルが高い⇔低い=Y軸に取り、その4象限に地域で行う具体的なアクションのカード①~⑲を置きながら考えました。

気づきと共有

・都市部では自分の生活が地域に関わっていないためにアクションのハードルが高く、逆に地方では生活と地域がつながりすぎていてハードルが高かった。
・個人でできることはハードルが低いが、「みんな」とは誰のことだろう?同じ考えを共有している仲間や友人ならハードルは低いが…。
・みんなでやるハードルを重ねないと社会の仕組みが変わることはない。一人で動くものもその中の一環でもある。色々な「みんなで」の形がある。「みんなで」へのチャレンジを考えること、そのハードルを考えることが大事。

ワーク3:アクションをふりかえる

これまで自分がこれまで行ったアクションの中から「私が意外とできるな!やれるな!成長できたな!」と思ったできごとについてワークシートに整理し、グループメンバーに紹介しました。

気づきと共有

・成功体験をふりかえり、メンバーからコメントをもらうことで自己肯定感が高まり、元気になれるワークだった。
・自分史をたどり、確認する作業では、過去をふりかえりながらも未来のことを考えられてとてもポジティブな気持ちになった。
・(かつて自分の)役割に不安があっても、楽観的にでも決めたことが、大きな繋がりや広がりのきっかけになっていたことに気づけた。

お腹いっぱいの夕食をはさんで、19時からは今まであまり話していない人とグループをつくり、日頃から考えていること、活動上の悩みごと、解決のヒントをもらいたいことなどを出し合いながらネットワーキングの時間を取りました。21時からは飲み物やおつまみを用意しての交流会(自由参加)へとつづき、冷めやらない熱気の中で夜が更けていきました。

翌朝は、心と身体をほぐす目覚ましワークからなごやかにスタートしました。

朝のアイスブレークでの様子

社会教育の中でアクティブ・シティズンシップを育むためには?★3 

次に「おとなのアクティブ・シティズンシップ教育の枠組み」について概念図を提示し、ワークを通じて考える場を持ったところから空気は一変、意識が研ぎ澄まされ、思考が巡る場へと変化しました。「自己変容と変革主体の形成」を導く「概念の理解」「技能」「価値とコミットメント」の3領域に関わることばについて、まさに熟議が繰り広げられる場となったのです。次のおふたりのふりかえりがその場の空気感をよく表しています。

・キーワードをもとに、自身のエピソードを振り返るワークは、キーワードが指すものが広すぎて何を書くか戸惑いました。それぞれの言葉の意味、言葉感のとらえ方、前提知識が人によって異なる場合もあると思います。グループでの共有の際に各自のエピソードに基づいた話をすることで、それぞれのとらえ方が明らかになっていきました。
・ワークは教材の使い方について困惑する声も多く出ていましたが、その場で教材の改善案などの意見が活発に交わされたことは印象的でした。そのような主体的な参加を通してこそ批判的、創造的指向性や熟議のスキルというアクティブ・シティズンシップの土台が築かれるように思いました。

ここでなされた熟議は今後も継続されていくものであり、また、今回の会議の意味をあらためて感じる場でもありました。なお、概念図については、今回の議論を踏まえたうえで改訂し、今後発行予定のハンドブックに掲載予定です。

最後に「私が大切にしていること、これからも大切にしていきたいこと」を書いて発表し合い、1泊2日の会議は終わりました。

最後に、提出していただいたふりかえりの中から、今回の「持続可能な地域をつくる 成人学習・教育(ALE)と開発教育:関西会議」にいただいた感想やご意見を一部紹介します。

本会議を通して、最も印象に残ったことは何ですか?


・「地域」について、今回のように考えたり、話し合ったりしたことは無かった。大切な視点を頂いたと思う。
・市民活動や市民として社会生活を送る基礎に、学びとその継続、日々の生活や活動と学びの往還が必要であることを、自分の中で概念や言葉として明確にできました。
・「対話」では充分ではなく、熟議が必要だということについての気づき
・参加者同士でエンパワーメントし合ったり、相互に意見を聴き合えたりする体験
・小グループでも全体の場でも、議論や意見だしがとてもしやすい雰囲気と場づくりだったと感じました。また、年齢や経験、活動の幅が多様だったことも印象に残っています。
・コミュニティやアクティブ・シティズンシップの議論が、非常に濃密なレベルで意見交換されたことです。
・各地域で色々な団体が熱い想いをもって活動されていることに改めて元気をいただきました。
・他の参加者と、それぞれの経験を踏まえて、多様なテーマ・課題についてたくさん意見交換ができたこと。「教育」という概念が少し変わったように思います。
・変化のダイナミクスを生むには、①ひとり ではなく みんなで ②多様な人が集まっている=異なる意見があるということを前提に、対話を加速させ熟議していく必要があること。
・自分自身の関心が、「人(特におとな)が変化・成長すること」にあって、それに関わりたいとおもっている、という再発見。

本会議を通して、アクティブ・シティズンシップや、市民性をはぐくむ教育を、どのように捉えましたか?また、それらについて考えたこと、感じたことを、教えてください。

・地域で活動する中で「市民性が育っていない」と思っていましたが、「市民性を育むために日々の活動を行っている」という意識はこれまで持っていませんでした。同じことの捉え方、見る方向を変えるだけのことなのですが、今回の会議での多くの気づきをもとにして、「活動」を「教育」「学び」として捉えていきたいと思いました
・自分自身が「地域」や「参加」をどう捉えるかを考えることによって、すべては自分の暮らしのフィールドからはじまると感じた。
「地域」から「世界」へ「1人で」から「みんなで」へ発展していくためには、成人教育が欠かせないと思います。
・成人学習はそれまでの経験や今まで知ったことが土台にあるからこそ、その人の経験や考え、知っていることと結びつくことで、より深い学びや発展的な学びにてつながり、更にそれが自分の行動変容、ひいては社会変革へつながっていく。
・平和、民主主義、環境、多様性の尊重などといった根底に人権でつながる諸価値と横断的に関わる教育実践だと捉えました。そのなかで成人教育について、それぞれが既に社会経験を持つもの同士として、培ってきた経験値や考えを互いに引き出しあうことでそれぞれの場所から、ときにコレクティブに価値を実現させる運動につながるものだと思いました。
・運動体内部の意思決定のあり方や、開かれた運動という観点とも深く関わるものだと感じました。
・各団体で実施している活動の促進も必要だが、こうやって関係者が集まることによる「市民性はぐくむ教育」の意識化、そして各団体が協力した大きな流れうねりを作っていくことも、市民性をはぐくむ教育であるし、その内容を活発化させるうえで大事だと感じた。
・教育プログラムも重要ですが、その根幹として「社会・地域に受け入れられている」と感じられることが大切だと感じました。その為にも、やっぱり人権に対する感覚をアップデートしていく必要があると思います。
・権利の話題が出ていましたが、そもそも今回の会議のように集い話し合うこと自体も権利の話であるのだと、終わってからじわじわと腑に落ちました。
・日常の中の様々な出来事、それに付随する選択の多くが市民性や権利に結びつく話なのだと思います。

本会議は団体や個人のネットワークの場となりましたか?

・明確に「なった」と思います。
・はい。団体としても個人としても多様な分野で市民活動に関わる方々との交流によりフラットに繋がることができ大変ありがたい学びの場でした。
・様々な出会いの場となりましたが、個人的には同世代の方と出会えたことが大変嬉しかったです。
・個人的に関心のある地域があり、その地域で活動している方とも繋がることが出来たため、公私ともに充実したつながりを得られました。
・組織を飛び越えた1人1人の意見やアイデアに触れることができたため、参加団体の認知にとどまらず、個人とも繋がりを作りやすかったです。

本会議のことを同僚や仲間の皆さんに共有するとしたら、どんな会議だったと説明されますか?

・①何よりも、個人と集団の両輪から、内面に向き合う勇気と好奇心を持つきっかけをくれる場であった。②そして、グローバル/ローカル/環境/人権/平和/国際協力/多文化共生などを専門にやっている、といった関心の細分化や分業モデルをバームクーヘンや領域を横断する器として教育者だけでなく実践者のための場であり、新しい価値観をもたらす教材が生まれうるラボのような場だった。③最後に、市民活動以外の領域にも切り込み過去100年をふりかえることができた場であった。
・学ぶということ、自分にとって地域とは?といった身近なことを話し合いながら、自然と自己開示が広がってつながりをつくることのできた会議だった。
・私たちの活動の基礎となるものを確認し、そのための学びを自分たちの活動と関連づけて体系的・循環的に把握、理解できる場であった、と話します。
・地域とは、を様々な角度から捉え直し、市民活動の社会的価値や意義を改めて考えることのできる場だった。また、「一人で」から「みんなと」につないでいくアクションへと発展させていくためにどのようなスキルや考えが必要かという視点を自分のフォールドに持ち帰りたいと思う。
・アクティブ・シティズンシップを養成するための手法について体験し、より実施しやすい枠組みを考える会議
・成人教育についての重要性を確認し、各領域で活動される皆さんが、「広める」にとどまらない教育活動としての課題を抱えていることを共有できる、プロフェッショナルな会議でした。
・さまざまな活動に携わる人たちとの議論のなかでALEの枠組みには一般的に教育で言われるような態度・知識・技能だけでなく、「人それぞれの経験」が重なることで、無限に広がってゆくものなのだと感じました。それらを互いに対話を通して知り、そこからじっくり話し合うことで新しい価値を見出し、仲間とともに行動につなげることが、ALEの大きな特徴なのかなと感じました。
・他者との対話を通じて、互いの力を引き出しあい社会変革へとつなげるための学びの場。
・地域のあり方や、学びの場の保障など、多様なテーマで意見交換ができる会議だった。
学び続ける大人がたくさんいる、素敵な集まりでした。
・お互いが普段感じているモヤモヤやジレンマを共有し、それらを結びつけながらテーマに沿って議論する。そのプロセスを楽しむことができ、とても充実した研修だったと報告しました。
・関西を中心に地域で活動する市民団体、NPOの方とつながるきっかけになった。団体の活動内容を、市民性を育む教育という視点から考えることができる機会だった。

このように、多様で熱意あふれるみなさんが集い、濃密で実りの多い時間となりました。この学びを今後もさらに発展・展開させていきたいと思います。

ちなみに、近日中に「おとな・ユースのアクティブシティズンシップ教育ハンドブック」が発行されます!!この会議でも実施していただいた意見を元に、鋭意、最終調整中ですのでお楽しみに!

以上

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